不動産の相続手続きとは?
Q.質問 亡くなった父名義の不動産(土地・建物)があるのですが、いつまでに不動産の相続手続きをすればいいのでしょうか? |
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A.行政書士・社会保険労務士岩本の回答 不動産の名義変更手続きに期限はないのですが、必要書類の増加、所有者の証明、相続人の増加など、期間があけばあく程手続きが複雑になる可能性がありますので、早めに手続きをしておいた方がいいでしょう。 |
相続登記とは、亡くなった方が所有または共有していた不動産を相続を理由に名義を変更する手続きのことを指します。
土地、建物が亡くなった方の所有または共有になっている場合、所有者もしくは共有者が亡くなった後に、相続人等への名義変更手続きをとらなければなりません。
では、その相続登記手続きはいつすればいいのでしょうか?
不動産の名義変更は早めに行った方がいい!?
不動産の所有者(若しくは共有者)が死亡し、その相続人が不動産を相続するとき、新たに所有者(若しくは共有者)となる方が不動産の名義変更手続きを行わなければなりません。
その際、所有者(若しくは共有者)の住所地、名前が登記簿謄本と一致しているかということが重要なポイントになってきます。
所有者(若しくは共有者)となった時点の所在地と、死亡し、名義変更手続きを行う時点での所在地が一致しているかなどを住民票等で確認します。
もし一致していない場合は、前住所地と現住所地までの異動が住民票などで証明できなければなりません。
ですので、名義を変更せずにほったらかしにしておくと、その間に相続人が亡くなったり、所有者(若しくは共有者)の所在地を証明する書類が破棄され、手続きが複雑になる可能性がありますので、面倒でも早めにしておいた方がいいでしょう。
名義変更手続きの期限が決まっていないから慌てなくてもいいかとそのままにしていると、ハンコがもらえないなど後で面倒なことになりかねないのです。
手続きの方法は?
不動産の名義変更手続きはどのように進めていけばよいのでしょうか?
これは、どういう割合で名義変更するかということによって変わってきます。
名義変更の方法としては、大きくは2パターンあると考えて頂いていいかと思います。
■法定相続分で相続する場合(相続人が1人のみの場合を含む)
法定相続分で不動産を相続するということは、民法という法律に規定されている相続割合で相続手続きを行うことをいいます。
この場合、相続人が法定相続分で共有者(若しくは所有者)となるわけですから、相続人の間でお話し合いがまとまらないということも少ないでしょうし、スムーズに手続きが行えるかもしれません。
ただ、名義人が複数になる場合、手続き後に思わぬところで面倒な場面が出てきますので、手続き後の管理等のことを考えてどのように分割(相続)するか、お考え頂いた方が良いと思います。
■法定相続分以外で相続する場合
相続人が複数いる場合で、遺産分割協議によりお1人の方、もしくは相続する方を決めて名義変更をする場合です。
この場合、相続人間で合意が必要になり、相続人全員のハンコが必要になります。また、遺産分割協議がまとまるまで名義を変更することができません。
相続人全員による遺産分割協議が整えば、あとは必要書類をそろえ、名義変更の手続きを行うのみとなります。
不動産の名義変更を行う際の注意点は?
名義変更手続きを行う際に考えておかなければならないこと、それは、名義変更後はその不動産の所有者(共有者)になるということです。
わかりきっていることではありますが、よく考えてみてください。
名義人は複数いるのに、固定資産税の支払いは1人のみというケースは、後々トラブルになる可能性があります。
共有者がいるということは、その共有者が亡くなったときにその亡くなった共有者の相続人が相続人としての権利が生じるということを意味します。
その後もずっと付き合いが続いていれば特に問題ありませんが、疎遠になった親戚が相続人として持分の権利を主張してくる可能性もあります。
もちろん、亡くなった共有者の相続人が、「固定資産税を支払ってきた方に名義を変更したらいいよ」と合意すれば何も問題はありません。
しかし、いざ相続になった時、それまで支払ってきた固定資産税や修繕費等のことはあまり考慮してもらえず、権利を主張されて名義が変更できないということがよくあります。
ですので、不動産を共有するということは、義務も負うということ、共有者が増えるということは利害関係者も増えるということを念頭において名義変更を行った方がいいと思います。
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