遺言書には何を書いてもいいの?
Q.質問 私が死んだ後、妻には誰とも結婚して欲しくないので遺言書にその旨を書きたいのですが、問題ないでしょうか? |
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A.行政書士・社会保険労務士岩本の回答 遺言書に書くこと自体は問題ありませんが、遺言書で強制することはできませんので、結婚しないかどうかは奥様次第ということになります。 |
遺言書は、遺言者の最終意思を明らかにする書面です。
基本的に何を書いても問題ありません。
法律で定めた方式に基づいて遺言書を作成していれば、内容に関して厳格な「きまり」はありません。
しかし、遺言書に記載した内容が守られないからといって、遺言書をもって強制させることもできません。
上記のQ&Aの例のように、遺言者がご自身の「願望」を記載していたとしても、法律上効力を有する内容ではありませんので、残念ながら後は奥様の判断次第となります。
それでは、法的に効力のある内容とはどういうものがあるのでしょうか?
法的効力がある遺言書の内容は?
遺言書に記載する内容で、効力を持つと法律上定められている行為は、以下の10項目です。
■法的効力をもつ内容
- 認知
- 財産の処分(遺贈・寄付行為)
- 後見人、後見監督人の指定
- 相続人の廃除、その取消
- 相続分の指定、その委託
- 遺産分割方法の指定、その委託
- 相続開始から5年以内の遺産分割の禁止
- 相続人担保責任の指定(*下記参照)
- 遺言執行者の指定、その指定の委託
- 遺留分減殺請求方法の指定
*相続人担保
相続人が複数いる場合、その相続分に応じてそれぞれの相続人が他の共同相続人に対して担保責任を負っているのですが、遺言書によって変更することができるということです。
ですので、臓器提供をしたいとか、自分が死亡しても再婚しないで欲しいとか、ご自身の希望を遺言書として残すことは可能なのですが、残念ながら法的な拘束力はありません。
書かれた内容のとおりに行うかどうかは、本人次第ということになります。
こんな内容の遺言は危険!?
理由はそれぞれあると思いますが、遺言書を作成する大きな目的としては、その遺言書だけで相続手続きが出来、トラブルを防ぐことだと思います。
せっかく作成するわけですから、その遺言書が原因でかえってトラブルになったということは避けなければなりません。
とすると、あいまいなこと、はっきりしないことは書くべきではありません。
あいまいなことが書かれていても、亡くなった後ではその真意を確認することが出来ないからです。
実際、大まかなことしか書いていない自筆の遺言書では相続手続きに使用できず、相続人全員のハンコが必要で弊所にその手続きをご依頼頂いたというケースもありました。
書いても効力がないという内容でしたらさほど支障はないかもしれませんが、かならず書いておくべきこと、効力を有する事項を書いていないばかりに遺言書が使えなかったということでは後々トラブルになりかねません。
書く内容を吟味することはもちろんですが、少なくとも書いておかなければならない事項を忘れないようにご注意ください。
個々のケースに応じて書くべき内容が変わってきますので、書くべき内容がわからない場合や、専門家のアドバイスを受けた上で記載すべき内容を決めたいという方は、弊所にご相談ください。
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