遺言とは?

Q.質問
遺言といえば、ドラマに出てくるような遺書(いしょ)をイメージしますが。

行政書士・社会保険労務士 岩本浩昭

A.行政書士・社会保険労務士岩本の回答

そういう使われ方をする場合もありますが、ここでいう遺言(遺言)は、どんな財産を誰に相続させるということを書き記すものを指します。

遺言とは、サスペンスドラマで出てくるような死に際に詫びるための手紙(遺書=いしょ)という目的で利用するだけではありません。

ここでいう遺言(法的には「いごん」と言います)は、自分の財産を自分の意思で相続人等に与えるという、非常に前向きな意思表示のツールです。

ですので、遺言を作成することは決して特別なことではなく、また、財産が多い方だけが作成するものでもありません。

相続でトラブルになりそうな場合、または、手続きがスムーズに進まない可能性がある場合に作成すべきものなのです。

まずは、遺言に対する誤解を解いて頂きたいと思います。

相続人の間で争いが起こって欲しくない場合、法律上の割合と異なる割合で相続させたい場合、相続人の関係が複雑で手続きがスムーズに進まない可能性がある場合には、できるだけ遺言を残しておいた方がいいでしょう。

「遺言なんて縁起でもない」

「遺言を書くほど財産がない」

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、遺言は、

  •  もめないように相続する人、財産を指定したり
  •  相続人以外の方に財産を与えたり
  •  自分の思いを家族に伝えたり

など、あくまでトラブルを防止するために、親族に対する一種のメッセージ手続きをスムーズに行うためのツールとしての役割を果たすことができるのです。

遺言でトラブルが完全になくなるとは断言できませんが、最期の意思を遺言としてきちんと残しておく場合と、遺言が何もない場合とでは、その後の手続きに大きな差が生まれます。

遺言は、時として絶大な力を発揮することがあるのです。

それでは、どういう場合に遺言があったほうがいいのでしょうか?

遺言があった方がいい場合とは?

下記のようなケースでは、遺言がトラブル防止ツールとして非常に有効ですので、トラブル防止のためにも遺言の作成をぜひご検討ください。

■ 遺言があった方がいい場合

  • 仲の悪い相続人、また普段付き合いがない疎遠な相続人がいる場合
  • お子様がいらっしゃらない場合
  • 相続人がいない場合、身寄りがいない場合
  • 前妻の子と後妻が相続人になる場合
  • 同居しているが籍は入れていない夫婦の場合
  • 父または母が違う兄弟が相続人となる場合
  • 不動産など分割できない財産しかない場合
  • 相続人の1人が全て面倒を見ている場合
  • 亡くなった後に世話をして欲しい人、動物がいる場合
  • 法律で定められた人以外に相続させたい場合

ただ、遺言をせっかく作成していても、要件を満たさず無効になったり、遺言者の意思が反映されなかったりということも決して珍しくはありません。

後の手続きに使用できないとなると、逆にトラブルになったりもめたりするもとになりますので、事前に専門家にご相談の上、確実かつ安心できる遺言を残されることをお勧めします。

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遺言があれば・・・

実際にご自身または身近でトラブルになったという経験がないと、なかなか遺言の作成を検討しようという気にならないのではないでしょうか?

仮に、トラブルになることが予想できていたとしても、財産目当てのようで、遺言を残しておいてほしいということをなかなか言い出しにくいのではないかと思います。

同居している場合ならまだしも、別居している場合はどこにどんな財産があるのかもわからない場合がほとんどです。

遺言があれば面倒な手続きをすることもなく、相続人に余計な気を遣うこともなく、スムーズに手続きが出来るのになぁと思うことが多々あります。

ですが、亡くなった後では何もできません。

上記のように、遺言があった方がいい場合に該当する方は、手続きがスムーズに行えるよう、遺言の作成をしておくことをお勧めします。

そうでないと、残された方が相続手続きで苦労するかもしれません。

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