限定承認とは?
Q.質問 借金が多そうで困っています。やはり借金は全額払わなければならないのでしょうか? |
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A.行政書士・社会保険労務士岩本の回答 相続財産の範囲内でのみ借金を返済する限定承認という手続きを選択することができます。 |
限定承認とは、相続財産で支払える分だけを返済し、残りは返済しませんという相続の方法です。
相続財産は、不動産や預貯金、証券等のプラスの財産はもちろん、借金、ローンなどのマイナスの財産も含まれます。
そこで、相続財産の範囲内で借金を返済し、借金の方が多ければ残りの借金の返済を免除しましょうというのが限定承認です。
相続放棄を行うとプラスの財産があっても相続できないのに対し、限定承認を行うと借金などを相続財産から返済し、財産が残っていれば相続できます。
相続放棄に関してはこちらをご覧ください。
⇒ 相続放棄とは?
限定承認の手続きとは?
限定承認をするときは、相続人全員が共同して行わなければなりません。
相続人が複数いるときは、家庭裁判所が財産管理人を選任します。
限定承認の申立ては、原則として相続開始があったことを知った日から3ヶ月以内にしなければなりません。
3ヶ月が過ぎてしまうと、単純承認(プラスの財産もマイナスの財産も全て受け継ぐ)したとみなされますので、ご注意ください。
(3ヶ月という期間は相続放棄も同じです)
限定承認の公告とその後の手続きは?
さらに、限定承認申立ての後5日以内(財産管理人を選任した時は選任後10日以内)に、一切の相続債権者(亡くなった方の借金の相手方)などに対し、2ヶ月以内に弁済請求の申し出をすべき旨を官報に公告しなければなりません。
(これを除斥公告といいます)
この期間内は、相続人は各債権者に対してその弁済を拒むことができます。
逆に、 この期間中に特定の債権者のみに弁済し、それにより他の債権者に弁済することができなくなった場合は、これによって生じた損害を賠償する責任を負うことになりますので、ご注意ください。
上記の公告で定めた期間が過ぎると、相続人(または相続財産管理人)は、届出のあった債権者やその他の債権者に対して、それぞれの債権額の割合に応じた配当を行います。
相続財産の中に不動産があるときは、相続人(または相続財産管理人)は裁判所に競売の申立または任意売却をし、その不動産を換価します。
上記の期間内に申し出なかった債権者がいた場合には、これらの債権者は配当手続の結果、残った残余財産についてのみ弁済を受けることになります。
このように、限定承認を選択するのは比較的簡単ですが、申立て後の手続きが複雑で、債務超過とならない場合は譲渡所得税がかかる場合もありますので、ご注意ください。
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