相続放棄しても保険金は受け取れる!?
Q.質問 相続放棄をしたら保険金は受け取れないのでしょうか? |
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A.行政書士・社会保険労務士岩本の回答 相続放棄をしたら受け取れなくなるのではないかと思われがちですが、生命保険金は保険加入者と保険会社との契約に基づいて受取人に支払われるものなので、原則として相続財産とはなりません。 |
2011.10.4
相続放棄しても保険金は受け取れる?
「夫が多額の負債を残して亡くなったので、相続を放棄しようと思ったのですが、夫の生命保険の保険金はどうなるのでしょうか」という相談がありました。
保険金は相続放棄をしたら受け取れなくなるのではないか、と思ったようです。
しかし、生命保険金は、保険加入者と保険会社との契約に基づいて受取人に支払われるもので、たとえ被相続人(亡くなった人)が保険料を支払っていたとしても、相続財産とはなりません。
受取人の指定がなく、法定相続人を受取人とすることになっていたとしても、契約によって支払われるという性質には変わりがなく、やはり相続ではありません。
したがって、相続放棄をした場合でも、生命保険金を受け取れます。
もっとも、税制では、被相続人が保険料を支払っていた場合は相続税が課せられます(ただし、全相続人が受け取った保険金の合計額が「500万円×法定相続人の数」までは非課税)。
ところで、死亡退職金の場合はどうでしょうか。
死亡退職金の受取人は、公務員の場合は法律や条例、会社員の場合は企業の退職金規定などによって定められていますが、「配偶者」や「遺族」などと記載されていることが多く、必ずしも「相続人」とは一致しません。
したがって、このような場合、受取人固有の権利であり、相続ではないと考えられています。
生命保険と同様、相続放棄しても受け取ることができます。
ただし、「相続人」に支給するという退職金規定の場合は、相続に当たるかどうか、法律家の間でも見解が割れています。
(読売新聞より転載)