遺言信託とは?
Q.質問 最近、遺言信託という言葉をよく耳にするのですが、遺言信託とはどういうものですか? |
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A.行政書士・社会保険労務士岩本の回答 遺言信託とは、遺言書の作成に関するご相談から、遺言書の作成、遺言書の保管、亡くなった後の遺言の執行までをトータル的に行うサービスです。 |
相続問題についてはどうしても他人事ととらえがちで、ご自身、お身内等身近なところで実際にトラブルに遭ったという経験がないとなかなか実感の湧かないものです。
金融機関も「遺言信託サービス」に力を入れているようで、窓口や広告、ホームページ等で遺言信託サービスの案内をみかけるようになりました。
では、遺言信託とはどういうサービスなのでしょうか?
遺言信託とは、主に以下のようなことをサポートするサービスです。
- どういう遺言書を作成したらいいかなどのご相談
- 遺言書の作成をサポート
- 遺言書の保管
- 遺言の執行(払戻しや名義変更等の実行) など
そもそも、
遺言信託=お金持ちのやる事
というイメージをお持ちではないでしょうか?
確かに、金融機関が行っている遺言信託サービスは富裕層を対象にしています。
金融機関は、預金者の金融資産を把握していますので、金融資産の多い顧客=富裕層に対して遺言信託の営業を行っていると聞きます。
その証拠に、金融機関は実際の手続きを行うわけではないのですが、手数料として相当な金額を設定しています。
しかし、遺言信託は決して富裕層のみのサービスではありません。
手続き時に遺言書が必要な方には利用するメリットのあるサービスです。
遺言信託を利用するメリットは?
実の親子であっても、どういう財産があり、通帳等をどこに保管しているか、意外に知らないのではないでしょうか?
親御様とずっと一緒に住んでいた方はそうでもないかもしれませんが、離れて暮らしている場合、またその期間が長いほどよくわからないものです。
(高校卒業からずっと実家を離れている私としては、親の財産がどれくらいあり、通帳がどこに保管しているのかまったく知りません)
そういうときに遺言書が役立ちます。
遺言書にどういう財産があるのかをきちんと書いていれば、どこに何があるのかわからないという事態を防ぐことができます。
また、相続人の仲が悪く、手続きを進めることが難しそうなケースや、相続人が高齢で、手続きを行うことが相当負担になるケースなども、遺言信託を利用するメリットは十分あります。
財産が多いから遺言書を作成するのではなく、相続人の負担を減らすために遺言書を作成するという場合もあるということを知って頂きたいと思います。
下記に該当する場合、遺言信託を検討して頂いた方がよいかなと思います。
■遺言信託をご検討頂いた方がいい方
- お子様がいない場合
兄弟姉妹が相続人となる場合があり、遺産分割協議がまとまらず、なかなか手続きを進めることが出来ないという可能性があります。 - 相続人同士の仲が悪い場合
あらかじめ分割する財産を遺言書明記しておくことで、不要なトラブルを防ぎ、手続きがスムーズに行える可能性があります。 - 相続人ではない方に財産を分けたい場合
遺言書がない限り、相続人以外の方に財産を与えることができませんので、遺言書がなければ相続人が相続するか国庫に帰属するかしかありません。
仮に、遺言書を作成したとしても、それを安全な場所に保管しておくこと、そして遺言に基づき実行することが容易ではない場合もあります。
遺言信託の場合、遺言書の保管もサービスに含まれていますので、紛失の心配もありません。
また、相続が開始したら、戸籍等の必要書類を集めることから始まり、関係機関に書類を提出して名義変更や払戻手続きをし、すべての手続きを完了させることが出来ます。
遺言信託とは、あくまで相続人の負担を最小限に軽減し、遺言者の望みどおりに財産を分与するためにとても有効な手段なのです。
遺言信託を利用するデメリット?
遺言信託というサービスを利用しますので、お費用がかかるというのがデメリットと言えるかもしれません。
金融機関の遺言信託サービスでも、我々専門家の遺言信託サービスでも、お費用がかかります。
ただ、前述のとおり、金融機関が行っている遺言信託サービスは富裕層を対象にしています。
弊所では、特に富裕層を対象としているわけではなく、遺言信託が必要な方にご利用頂きたいと思っていますので、どなたでもご利用頂くことができます。
弊所の遺言信託サービスは、遺言書がないと相続人に多大な負担を強いる場合などに、最適な内容の遺言書作りをアドバイスし、実際に遺言書の作成をサポートし、その遺言の内容を忠実に実現するための遺言信託サービスです。
ただ、お費用がかかるだけではなく、きちんと相続手続きを行い、相続人等のご負担も軽減できますので、さほど大きなデメリットではないかもしれません。
遺言信託を利用するメリット、それにかかる費用を勘案して、メリットの方が大きいと判断された場合は、弊所の遺言信託サービスをご利用ください。
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